店舗店内での転倒事故が発生!責任は誰にあるのか?

この問いの答えは店舗側か転倒した本人かの二択になるわけですが、転倒事故の責任が誰(どちら)にあるのかは、店舗側に故意または過失があったかによって異なります。

重要なのは店舗側に故意または過失があったかどうかとその転倒事故との関係性です。
店舗側に故意または過失がない場合、転倒事故はもちろん本人の責任です。

たまたま店舗内で転んでしまっただけでは、その責任は店舗側にはないと考えられます。

判断が難しいのは店舗側にも原因があると考えられる時です。

即ち過失です。

例として、
雨の日で店内の床が濡れていた。
店内の床を水拭き掃除した後で滑りやすかった。
店内の床をワックスかけしたために滑りやすかったなどがあります。

そういった際の責任の所在が誰(どちら)にあるのか判断が難しい時の考え方として「故意」「過失」「相当因果関係」というものがあります。

ここで言うところの故意とは、他人の権利や利益を侵害することを認識しながらあえておこなうことです。
過失とは、自分の行為の結果、他人に損害を与えることが予測できたのに、それを避ける注意をしなかったことです。
相当因果関係とは、その行為があれば通常は、その結果が発生したであろうと一般的に予見できる関係を意味します。

この3つの考え方に注目してみると転倒事故の責任が誰(どちら)にあるのかが見えてくると思います。

先の例で言いますと、雨の日で床が濡れていたことにおいて、店舗側の故意はないとしても過失や相当因果関係はあると捉えられます。
店内の床を水拭きした後で滑りやすかったことにおいては、どの程度滑りやすかったか(濡れていたか)で過失や相当因果関係も変わってきます。

一般的な水拭き掃除の後くらいの程度であれば過失や相当因果関係があるとは言い切れないと考えます。

店内の床をワックスかけした後で滑りやすかったことにおいては、それを知らせる注意喚起があったかどうかなども関わってきます。
ワックスかけの後で滑りやすいのがわかっているのに注意喚起をしていなかった場合、故意や過失はあると考えられますし相当因果関係もあるでしょう。

これらのように店舗内での転倒事故の責任は、その事故内容と「故意」「過失」「相当因果関係」の有無で誰(どちら)に責任があるのかが決まってくるのです。